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【ブラック体験記②】就活の行き止まり—東京都と派遣会社合同事業の罠—

 法政大学を卒業して、1年と1ヶ月がすぎました。  昨日はちょうど『百万円と苦虫女』という映画を見ました。 主人公の弟くんが、犯罪を犯した主人公に対して「おまえのせいで中学受験できなくなったじゃねぇか」とどなりちらしているのを見て、「あぁリアル」と思いました。 僕はいまファミレスでクーポン使って安くパスタとパフェを一緒にもちろんデザートは食後でいただいています。  ファミレスで働いているおばちゃんを見てあぁこういう時代なんだなって再確認するんです。もちろんその人自身を判断しているわけではないですが。  「新卒就活枠」に参加しなかったらその先どうなるの?というラインで話そうと思います。 私自身「新卒就活枠」には参加しませんでした。ものすごくばかばかしく思えたのです。なぜばかばかしいかっていうと、究極、学歴で人を判断するしかないような状況に依存している状態だからです。まず学歴というのが土台にあり、参加できる会社説明会の種類等々、非常に細分化されて効率化された採用活動を周知の事実として企業は行うわけです。学生たちも敢えてわかっていてそれに従うしかない。というのが私の周りを覆っていました。  新卒一括採用という時期を設けることによって学生たちを同じ時間に一斉に就活に参加させ大量の学生をさばくために、大きな会場が用意されブースが設けられます。採用活動をしている企業から見れば便利かもしれませんが、その中で学生が企業を吟味し選ぶという機会はひどく限られています。  大学生活、あるいはもともと様々な人に会う機会がある人ならば、学歴で人を判断するということがいかに馬鹿げたことであるのかということは存じられていると思います。  学歴ってなに?いまのところ僕の頭の中では、「人種」差別と同じです。ここでそれは言い過ぎだろうと思う人はぐぐってみてください。それで自分なりの意見を持ってみてください。  今まで20数年間、どういうふうな家庭で、どういう小学校に行き、どんな優秀な高校で、偏差値いくつの大学にいったか。そういったことで社会の表舞台に立つことが許されるといっても過言ではないんじゃないでしょうか。  じゃぁお前はどうなんだというところ、私は小中学校は公立で、高校は定員割れで受験中寝ていても受かる(僕は実際寝ていました。)私立の学校でした。大学は先に述べたとおり、法政大学というところで私立です。そして5.5年間(留年半年、休学1年)を経て去年の9月に卒業しました。このときに親戚や世間からかけられた言葉は遊んでばっかりいて無駄にお金がかかるだけじゃないか。という言葉でした。遊んでばっかりいてどころか、授業料を自分で払わざるを得ない状況だったため、アルバイトをして働きまくりました。  話は変わって、僕のいとこは、中学生にして正式な診断を受け鬱になりました。そのいとこの家族は、それまでずっと、「ピアノ」「塾」「テスト」ということをいとこ自身の同意なしに、その子におしつけて従わせてきました。将来は医者になってもらう、将来は音楽の道に進んでほしい。そうして家族がなってほしい息子像もばらばら。経済的に自立できないいとこはその言いつけに従わざるを得ない状況でした。  やっと本題。僕は今、プログラマーをやっています。 この職を得る過程で、東京都と派遣会社の若年者緊急就職サポート事業に参加しました。 http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/koyo/young/shoukai/jakunen.html この事業で今の段階ではいい職場に就けているかなと感じています。が偶然そうなっているだけだと感じています。大凶が8割みたいな確率でおみくじをひかされたような経験でした。  この事業は東京都から委託された派遣会社が「正社員雇用前提」の採用募集をかけている企業を事業参加者に紹介し、研修から正社員雇用までフォローしていくという事業です。  だいたい2週間かけてワードやエクセル、パワポの使い方、ビジネスマナーをグループで共同で学んでいきます。研修中は給料が支給され私の場合は1h950円+一日500円までの交通費がもらえました。二週間後は実際に企業の中での研修となります。この内容に関しては当たり前といったらそうですが企業ごとに研修の内容が違います。  でもこの当たり前の部分に僕は疑問を感じました。以下に箇条書きで。 ・「だいたいうちはみんな3ヶ月でやめていくよ。そういう場所じゃないから」ということを派遣先決定の後に聞かされる。 ・参加者がやめる意志を伝えたところ、何十回もひっきりなしにひきとめの電話がかかってきた。 ・パワハラあたりまえ、セクハラ当たり前の声が派遣会社のもとでの情報共有ミーティングで明らかになった。 ・特に生活に困っている参加者が、今後の生活を安定させるために一生懸命仕事を得ようと上司にわからないことを聞いても、無視される。 ・派遣会社を通して単に繁忙期のサポート(雑務)をやらされる。正社員雇用前提という話で参加したのに実際には、職場の雰囲気が人を雇おうという感じではない。 ・時期によって再び、「正社員雇用前提」の企業を紹介してもらえない。その場合は、正社員雇用前提の研修生から派遣社員として自動的に参加者は位置づけられる。 ・東京都の委託なのでかかる経費は都が負担しているため、派遣先企業は一切、賃金を自社から払う必要が生じない。そのため、いくらでもやろうと思えば都合よく使うことができる構造。  これらを踏まえると、就活の時期に安定した職を得られなかった若年者は、都がサポートしていることで信頼できそうな事業に参加したが、使い捨てのリスクにまた身を晒すことになるということが言えると思います。  こう考えると私のような道筋をたどる人は少なくないとして、もともと椅子とりゲームのような新卒一括採用に参加しなければ、派遣会社、フリーターという収入も安定しないどん詰まりの穴に落ちる可能性はもっと高くなっていくわけです(仮に公的機関の委託だとしても)。ただ私はこれからも違った形の「就職活動」を探していきたいと思います。<by DJしゃちく>

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