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【ブラック体験記③】既卒就活体験記

 私は今年3月に大学院を卒業し、卒業してから就活に取り組むようになりました。  そう、新卒者としてではなく、既卒者としての就活。  大学院生の就活は、現行の新卒一括採用制度だと大学院に入学した年の冬に始めることになります。その段階では、私自身まだ博士課程に進学するか就職するかということを決めることができていませんでした。さらに、自身のアフリカをフィールドにした研究内容からも国内にとどまって研究することが難しかったために、ちょうど就活が始まる時期に研究留学の準備をしていました。正直、帰国してから就活をすればいいか、くらいの気持ちだったので、修士2年の4月末に出発、10月末に帰国し、1月に修士論文を提出してから、就活を始めました。  そこで初めて新卒者用のリクルートサイトに登録をし、あーなるほどと実感したのが、多くの企業が条件としているのが「大学・大学院卒業見込み者」という点でした。そうなんですね、私はこの条件に当てはまらないんです(トホホ)。なので、「見込み者」を条件に設定している企業はエントリーできないのです。これはなかなか驚きで、この条件を使っている企業が多いこと多いこと・・・内心、「卒業3年までは新卒扱いじゃないんかーい」と思いましたが、これ自体取り決められているわけでもないもんで、この条件をどうするかは企業次第なんですよね(白目)。  そんなわけで、とりあえず既卒者も受け付けている企業を条件に企業を探しました。さらに私の場合は、研究所等でアルバイト経験があったので、ものは試しだと思い、転職サイトにも登録してみました。これが新卒リクルートサイトよりヒットしたり、あとは独自に興味のある企業のHPで求人情報見てみたり。具体的には、転職サイトで自分の興味に沿って条件を入れて企業を調べて、気になったらエントリーして、書類が通過したら面接行って・・・という新卒と内容は変わりません。ただ違うのは、企業説明会はほぼないです。中には説明会を実施している企業もありますが、私は参加したことないです。  転職サイトから応募して、初めて面接に行ったときのことは割と覚えていて(笑)貿易事務の面接だったのですが、まず第一声「は?新卒じゃん。」でしたね。面接ってこんなものかーという印象でしたが、その後も「貿易事務ってなにやるかわかって応募してんの?」「自己PRは?」などなど。いま思えば笑えてきますが、そのときは企業が散々コミュニケーション能力がーという割にはだな、目も見て話さないし、という感想でした。その後は、こういった底辺のような面接をする企業に私は出くわすことはありませんでしたが、仕事内容や労働条件がどうなんだろうなーと思う企業はありましたね。よくある残業代は出ない、みなし労働(月40時間は基本給に含む)、残業するしないは自分次第、営業先は金持ち高齢者のみ・・・社畜のみなさまからすれば、「そんなん当たり前やろ!」と罵倒されるかもしれませんが、私は遠慮しまーす。  既卒の就活で、唯一難しいと感じたのは、新卒サイトから応募した企業にとっては「既卒」、転職サイトから応募した企業にとっては「新卒」という、両面を持っている点です。こんなこと当たり前かもしれないですが、それでも常に自分の立場が揺らぎ、時には「は?新卒じゃん。」などコミュニケーション能力の欠片もない「は?」と言ってくる人事もいるんですね。でも「は?」があったから、企業を選ぶ基準が自分の中で固まったような気がします。あらかじめ条件等を設定して2つのリクルートサイトから企業を選び、面接や筆記試験を受けるわけですが、まず面接では面接官が話を聞く姿勢があるか、私にとってはこれが一番重要でした。面接官や人事は会社の顔とまで言われることもあるくらいです。それでいて門前払いのような姿勢であれば、その企業に入ってから苦労しそうだなと単純に思いました。もちろん、意図してそういった面接を実施している企業に出くわしたこともありました。しかし私はそれをポジティブに捉えてまで、その企業に入りたいとは思わないので、それ以降の選考は断りました。そこで一つのチャンスを逃しても構わないです。企業側がいくらでも代わりはいると思うのと同様、こちらも企業はいくらでもありますから。  私は運良く内定をゲットできたので、とりあえずいま生きていますが、この新卒一括採用は本当に強烈だなぁと実感しました。これは私の例だけではなくて、もし少しでも就活時期がずれたら、もし内定をゲットできなかったら、もう就活を再スタートすることも難しいですよね。だから就活留年する学生もいるし、どこでもいいから内定がほしいという一心で、またはこれ以上就活で苦しみたくないから、わかっていながらブラック企業に入社する人・・・なんなんでしょうね、この仕組み。これで「就活しない人が悪い」「内定をもらえない人が悪い」「就活くらいで自殺するなんて甘え」なんて簡単に言えますか?もし自分がそうだったら・・・?もし友人が就活を機に命を絶ったら・・・?  私は「就活しない人が悪い」のではなく「内定をもらえない人が悪い」のでもなく、また「就活で自殺することが甘え」なのでもなく、新卒一括採用制度という仕組みそのものが、こうした状況に陥らせていると思うのです。なぜ私たちは就活時期が選べないのでしょうか。なぜ内定もらえない人が悪になるのでしょうか。なぜ自殺することが甘えになるのでしょうか。「悪い」を私たちにばかり向けるのは、もうやめませんか?<by Aさん>

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